親の考えていることは子供に伝わる

人の親になると、自分がいかに未熟な人間か身にしみます。
そこで、自分の子供にはなるべく良い(正しい?)人間になってほしいと理想を掲げて子育てに勤しむわけです。
自分がやりたくてもできなかったことをやらせたいと思ったり、あるいは自分のやってきたことを継がせたいなど子供に夢を乗せていきます。
お勉強で苦労しないように、とかスポーツができるようにとか考えたりします。
勿論、年齢が上がってきて、理想通りにはいかないことも数多くあり、方向修正を余儀なくされることもあります。
それはきっと親にとっての学びかも知れません。
よその子と比べると精神的にきついこともありますね。
親も人として成長するチャンスで、そこで”人と比べてはいけないんだ”とか”この子のペースがある”など見方を変えられるといいですね。
これは子供にとっても良いことなんですが、私が聞いた話でひとつ引っかかることがありました。
「この子は人と同じことができない。”だけど”この子のペースで頑張っている(から良いのだ)」
「”可哀想だけど”この子なりに努力しているから」
という言い方。
親本人も、周りについていけない我が子を見るのが辛いんですね。「”だけど”頑張っているから」
この場合、親はずっと辛いまま、でも頑張っているから我慢して見守っている、と受け取れます。
恐らく子供の前では”だけど”とか”可哀想”という前振りは言っていないと思いますが、親の考え(内心)は子供には伝わっています。
「私は人と同じことができない。”だけど”頑張る」
お母さんも辛いのを我慢しているから。
これは、それこそ可哀想です。
この問題の根本は人と比べていること。
いつも、人よりダメな部分を認識して、辛いけど頑張ろう、と子供に強いているのです。
そうではない。
競争社会だと言っても、できないものはできないんです。
それなら人と比べるのではなく、過去の自分と比べた方がよっぽど良い。

そうすると子供はいつも過去の自分より成長した、できるようになった、という成功体験を持って前を向いていけます。

そして子供の好きなこと、得意なことを褒めてあげること。
将来役に立つかどうか、なんて関係ありません。
褒められればもっと頑張れるし、集中力がつきます。
集中力があれば、多少の苦手なことも取り組んでいく力がつく。
人と比べない、と頭でわかっていてもなかなか難しいことではあります。
それでも、人の親になったのだから、と肝に銘じて自分も人として成長していかなければならない、と思うのです。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。