自分のことで精一杯の修業時代
私は13歳から8年間アクションを勉強しつつ、役者を目指したり踊りに魅力を感じたりとやってきたのですが、アクションも役者も踊りも、やるからにはプロになりたい、と思ってきました。
日本舞踊に専念し始めたのは21,2歳の頃だと思いますが、かなり尖っていたなと、(その頃を思い返すと恥ずかしいですが…)思います。
ただ稽古場にいたのは、当然ですが趣味で楽しむ方たちがほとんどでした。
先生は熱心な私だけでなく、趣味で楽しむ人にも等しく教えていました。
私は周りを見渡す余裕もなく、ただただ上達したい一心でした。
段々先生の助手のようなこともするようになると、他のお弟子さんに接する機会も増えます。
そこで初めて一人ひとりの楽しみ方にも触れることになります。
やりたいことは人それぞれ
“かわいい女の子の踊りをしてみたい”
“男性と組踊りをしてみたかった”
“難しそうだけど、3枚目はやってみたいよね”
“上手になってあの踊りを踊りたい”
そして舞台での仕上がりも、完璧ではなくても一生懸命やって”ここまでできた”と達成感が欲しいということもわかりました。
どれも当然のこと、なのでしょうが、若かった私は完璧にできてプロになれることしかゴールとは思っていなかったのです。
その人の夢を叶える
現在はお弟子さんごとにどう教えたら楽しめるか、その人なりの最高のパフォーマンスにできるか、その人をいかに”乗せて”舞台を体験させてあげられるか、演出することが最大の仕事だと思っています。
技術はどうした、と言われるかも知れませんが、それさえもその人が1番上手くできるように教え、演出しているつもり。
先生と同じにできるまで永遠とやらせるようなことは、自主性にかけることでもあり、本番の時”先生がいないと踊れない”みたいなことにもなりかねません。
私はこう踊りたい、と主体的に楽しみ、理解していればアクシデントにも強く舞台で堂々と表現できます。
上達の過程で習う踊りというのはある程度決まっていますが、当人が何を目指しているのか、そこまで大げさでなくても何に憧れて踊りたいと思っているのか、先生は寄り添う必要があります。
楽しければ沢山練習するし、上達も早くなるのです。
一人ひとり個性を見て、興味を見て、特技を見て演出してあげて、それに乗って想像を超えて踊ってくれたら、こんなに幸せなことはありません。
この仕事をして良かったと思う瞬間です💕
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