物語はハッピーエンドで

テレビドラマでも舞台、映画でも、世界的傾向はわかりませんが、国内で見るものに関しては時代の流れがあると思います。
勿論価値観が変化したり人々の好みの変化とかもあるのですが、モノづくりは大変だなぁと思ったのは、劇的な事件、事故、震災など、フィクションを軽く超えてしまう出来事が次々起こった頃。
現実の方がドラマチックだと、テレビドラマなどのちょっとだけ夢見る、みたいな展開は白々しく感じられてドラマを敬遠した時期が結構ありました。
仕組みが変わったこともありますが、長寿番組ができにくくなったと感じました。

それから時が過ぎて、どうせフィクションなら思い切った設定、という開き直り?が見えるとそれはそれで作品として楽しめて、私はこの方が好きでした。
だって現実の方がよっぽどドラマチックなんですから、フィクションが同じようにリアルを追求しても勝ち目はなかなかありません。

そのうち、逆にリアルをとことん追求した作品にもお目にかかりました。
同じ時期にTVと舞台で似たようなタイプの作品を鑑賞することになったので、もうひとつの大きな流れだったのかも知れません。
そこにはご都合主義が一切なく、全く救いようのないラストで、絶望に向かって、それでも真摯に向き合う主人公の立つ姿がどちらも印象的でした。
舞台の方は時代劇だったので、歴史の事実であったのかも知れません。
しかし、主人公の凛とした姿は良かったものの、こんな思いをするためにわざわざ時間を使って見たのかと本当に最悪の後味になりました。
悲劇、という分野もあるのでそれは否定しませんが、
勿論歴史的事実も否定しませんが、
エンターテイメントとして成り立つべき作品が、リアルだけが価値あるものとは思えないのです。

最近も災害など多くの悲しいニュースを目にします。
新聞などには当事者の悲痛な様子、コメントなども載っていて、読んでいて堪らなくなることもあります。
エンターテイメントはリアルと競うのではなく、別の役割を果たして欲しいと願います。
事実を取り上げても最終的に救いがあったり、希望が持てる作品であってほしいと思っています。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。