才能、というけれど〜日舞講師の小話 11〜

若い頃、舞台を沢山体験したくて、野外芝居をする劇団に参加したことがあります。
アングラブームが少し下火になったところでしたが、野外を売りにするような劇団で、何と13日間連続公演。
日舞で既に名取になっていましたが、踊りで13日はなかなかできない公演ですし、時代劇ということもあり、経験が多少役には立つかなと思い、挑戦したのです。
稽古は1ヶ月以上に及び、かなりハードでした。
その中では勿論新人なのですが、着物を着られることも踊りができることも、そして三味線を少しかじっていたことも、殺陣ができることも…全てが役に立ち、重宝されて、初めて自分のやってきたこと、自分の好きなことが実感できました。
主役の女優さんは、プライドを持って演じていて、直近で見られたことも良い経験でした。
でも、少し気になったのは「私には”感性”がある」という言い方。
様々なことを敏感に、豊かに感じる力。
演じる、表現する人ならば絶対に必要なものです。
ところが彼女の場合、恐らく”感性”は持っているのですが、残念ながら表現するためのツールをあまり持っていないようでした。
気持ちが高まると身体に力が入って意図しない動きが出てしまう。
時代劇専門の劇団の割に着物姿もあまり美しいとは言えません。
踊りをやっていればわかることです。
圧倒的に男性が多いこの劇団で、女性らしく輝いていないのは勿体ないことですね。
舞台ですので、ごまかしが効きません。
身体を思い通りに動かせない、ということは小道具などもってのほかということ。
刀なども出てくるわけですが、危なくて見ていられない。
その他芝居の中で忠臣蔵が出てくるのですが、殆どの役者が知らない。
勘平を”カンベイ”と読んだり笑
で、新人の私が教える、みたいな羽目に笑
私にとっては拷問に近いことでしたが、表現者に必要なのは感性だけではないことが実感としてよくわかりました。
様々なことをよく勉強して知識を持つことは当然の前提です。
そして表現するものを誤解なく伝える技術は確実に必要なのです。
折角素晴らしい感性の持ち主であっても、伝えられなければどうにもなりません。
10代、20代のそれこそ”感性”豊かで十分吸収できる時に沢山の勉強、経験、体験をすること。
伝えるための技術をどんどん身につけること。
大人になって硬くなり始めた頭や身体を鍛えるのは容易なことではありません。
それでもやらないよりはずっとましですが、このことに早くに気づけたなら、是非死に物狂いで身につけてほしい、と思います。
特に最近の若い人たちは、親が熱心だった分勉強などはよくしていた印象はありますが、圧倒的に体験が足りていない、と感じます。
何でもいちから説明しないと身体が使えない、というのは困ったことです。
どうか相当な危機感を持って取り組んでほしい、と切に願います。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。