人に伝えるために〜意識を広げる〜

舞台は自ら観客を引き込まなければならない

映像の場合は、カメラが寄ってくれるので、リアルな距離感が必要です。
眉をチラと動かす、みたいなささやかなリアクションでもアップによって伝えることができます。

舞台では、最後列のお客様にまで理解してもらえるように表現しなければなりません。
例えばささやくような場面でも、最低限聴こえるボリュームで言わなければならない。

踊りなどセリフのない表現ツールでは、意識することが大切になってきます。
これは言葉で説明してもなかなかすぐできることではなく、難しいことなんですが…

意識を広げるには

狭い部屋でずっと練習していると、仲間内の気持ちはつながりますが、広がりが無く、観客に背を向けて内側を向いて手を繋いでいるような感じに見えたりします。

色々方法はあるんですが、使うホールと同じか少し広いくらいの場所で練習する、ということは有効です。
空間に慣れる必要があるので、時間はかかりますが、できれば演出家などの第三者が遠く(最後列の位置)にいて、「もっと大きく」とか「わかるように!」とか言ってもらうことです。
そうするとその遠くにいる人(演出家)に“伝えようと意識する”のでより広く遠くまで伝える力がついてきます。

身体を意識する

大分前になりますが、あるダンスパフォーマンスで、大勢のダンサーが出演していたのを拝見したことがあります。
ダンスナンバーというよりは、個々が違う動きをしていたのですが、大勢いるのに誰一人として気持ちが伝わってこなくて、あるひとりが立ち尽くして上を見上げた場面では、その人の”目”だけに意識(表現)を感じ、身体も目以外の顔さえも何も感じることはできませんでした。
台詞もなく身体が表現するということは、視線や手の動きなどよりも難しいとは思いますが、舞台で生きようとするパフォーマーであれば、できなくても仕方ない、というわけにはいかないと思います。
私のおすすめは、(難しいかもですが)表現する気持ちを身体の中に目いっぱい溜め込んで、目と言わず指先と言わず全身の毛穴からさえ放出させる、みたいな意識を持つこと笑
この訓練については、具体的なセリフを言わずに相手に伝える、伝わるまで身体を動かし、顔も勿論表現して伝える、というやり方が効果あるかな、と思っています。
ゼスチャーゲームみたいなものですね。
それをどんどん広げて遠くにいる人にも伝えられるようにしていく、ということなんですが。
なかなか難しいですが、予算が許す限り本番と同じスペースでされること、そしてゼスチャーゲーム笑をお勧めします。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。