子供と本気で向き合うー日舞講師の小話その7ー

私は、自分で言うのもなんですが結構真面目な方。

友達と遊んでいても、例えばボーリングをしていても、つい、”もっとこう投げてみよう”とかのめり込んでしまう。

稽古場でも、気軽にと声掛けをする一方で、どうしたら伝わるか、どう言ったら上達するか、常に集中してお弟子さん達を見ている。

厳しくとはちょっと違って、こうしたら楽しい、上手くなるよ、と相手を乗せたり、上手く見せる工夫=演出をするのが好きなのだ。

さて、学校での授業。

一生懸命な子がいる一方、不真面目な子もいるわけで、あまり厳しすぎてもいけないし、かといって見捨てるわけにも勿論いけない。

ある程度楽しめるようにと意識しているが、先日の授業は、つい私が集中し、のめり込む癖が出てしまった。

二つのグループに分け、彼らでフォーメーションを考える課題に取り組んでいる最中。

半数の生徒が見ている中、彼らのアイデアを最大限生かせるように話し合ったり手直しをして何とか出来上がり、私は思わず「ね?すごく良くなったと思わない⁉️」と声をかけました。

いつもなら踊ってる子達はともかく、見ている子達は大した反応はしないものなのですが、この時は私につられて集中して見ていたようで、真剣な顔つきで力強くうなづきました。

その顔を見て私の方が驚いてしまいました。

いつもふざけていた子達が、どうして…。

週末、娘とテレビを見ていると、「世界の果てまでイッテQ」(日本テレビ)で内村光良さんが高校生と共にダンスを踊る企画をやっていました。

時間制限がある中、内村さんがとても真摯に取り組んでいて、その姿を見た娘が感動して涙を浮かべ、「こんなに真剣に一緒にやってくれたら、最高‼️」「若いうちはこういう大人と接することが大事だよね!」

私は授業のことを思い出しました。

いつもいい加減にやっているわけでは決してありませんが、もしかしたら先日の授業は内村さんと接した高校生と同じような体験をさせてあげられたのかも、と思ったのです。

そう思うと、ちょっと感動するとともに、もっと集中して頑張らなくちゃいけない、若い人達と向き合うというのは、本気でなければいけないんだ、大変なことなんだと身が引き締まる思いでした。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。