踊りを見せる授業

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私は今ご縁をいただき、高校生に日本舞踊を教える授業をしています。
殆どの生徒が日本舞踊は見たことも聞いたこともない笑
歌舞伎の話をしても知らないことがほとんどです。

まぁそんなわけで、授業は日本舞踊を知ること、体験すること、そして身体表現とは、をテーマに飽きずに楽しめるように、身になるようにと考えています。

体験に関しては、日本舞踊に限らず圧倒的に少ないと感じていまして、何とかここでしか体験できないことをと考えているわけですが、ある時話のはずみで?”先生の踊りが見たい!”と言われてしまい、どうしようかと一瞬戸惑ってしまいました。
人に見せるものを作り上げる、仕上げていくのは簡単ではありません。
恐らく彼等もそんなに重要には考えていなくて、見たいと言ったのだと思うのですが…
幸い現在教えている曲の中では新作で自分自身少しは踊り込んでいたものがあったので、それを見せることにしました。
通常ではきちんと仕上げたものはちゃんと舞台に乗せるもので、片手間に見せるようなものではありません。
“本当なら別料金だよ”と笑わせて、それでもその時点でのベストを見せようと思いました。

踊り終わると、呆気にとられたようになってすぐ反応できなかった生徒たち。
間を置いてから拍手をして、
“やばい!””先生、やばいぃ”
(語彙力!笑)

完全なものを見せられたわけではありませんが、茶化すことなく手を抜かず、その時のベストを見せたつもりです。
そして
「これはまだ振りを覚えて、イメージを何となく全部通して出せた、くらいのところ。
ちゃんと舞台で見せるには、この先もっと集中して稽古して考えなくても身体が勝手に動くところまでやって、もっと強くイメージして大きく広げて、見せていかなければいけない。そうしないと大勢の人には伝わらない。
仕上げるとはそういうこと。
順番を覚えればいいわけではないのよ」
と言うと、黙ってうなづいていました。
授業や部活動で振りを教えるときにはここまで表現してはいなかったわけで、彼等には驚きの体験になったようです。
それでも本番ほどの表現ではなかったんですが。
演劇をやりたい、ダンスをやりたい、と言っている割に舞台を見たりする経験、プロに接する体験が少ないのだと改めて実感しました。
私ももっと舞台に立って、彼等に見てもらえる機会を増やさなければいけないな、なんて思っています。

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。