個人レッスンの価値

日本舞踊のお稽古は昔から通常、個人レッスンでした。

日本舞踊、というより、和事は基本的にそうだったのでは、と思います。

カルチャースクールなどの台頭で、日本舞踊もグループレッスンが増えていますね。

時間もグループの方が長いことが多く、その方がお得に思われている、ということも私は感じることがあります。

しかしながら教える側からすると、時間が長ければ良いとは思えません。

現在私の教室の個人レッスンは40分ですが、10年ほど前まで30分でした。

グループレッスンも出稽古でやっていましたが、同じことを教えていても、たとえ倍の時間教えても30分の個人レッスンには敵いませんでした。

個人レッスンの方が短時間にもかかわらず、振りを覚えることだけではなく、上達も早かったのです。

現在では、グループレッスンの方法もかなり開発した、という自負はありますが、それでも個人レッスンよりは成長に時間が必要です。

個人レッスンの良さは、“その人”の不得意なところを確実に見い出し、”その人”の身体の仕組みを見抜いて最適な動き方を見つけ、”その人”が正しく理解できる言葉をかけられる、ということだと思っています。

いくら自分の言うことが正しい、と言ってもその人がイメージできなければ、伝わりません。

伝わらなければ直せないし、苦手な動きをどうしたらできるようになるのか、わかりません。

「こうすれば簡単でしょ?」なんて言えません。

“その”簡単”は自分にとってのことで、”その人”にとっては難しいことかも知れないのです。

初心者のお稽古する曲は、大筋で決まっていますが、人によって選曲が変わることがあります。

幼少期の子供ではなおのこと、性格、動き、興味を持つことの違いなど様々に考慮して決めていきます。

できない個所をあえて目をつぶってできたところを伸ばす方向にすることもあります。

できなければ先に進まない、というのはよく教えてくれる、とも思えるかもしれませんが、本人にとって難しすぎる、ということもあります。

他の、できそうなことをチャレンジしてレベルを高め、その先で、以前できなかったことができるようになる、という時が来るのです。

いかがですか?

個人レッスンってとても贅沢な授業だと思うのですが。

今は個人レッスンでも昔ほど高額ということもないと思いますし、自分のためだけに先生が動いてくれる夢の時間を体験しませんか?

 

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。