背中から見える動き

教室というほどではない規模でお稽古場を始めた頃
リビングのテーブルを寄せてお稽古していた時があります。踊る正面に鏡を置いて、見るスペースが無かったため、後ろでお弟子さんの後ろ姿と鏡を見ながら指導していました。
実は体幹を使って(要するに身体全部を使って)踊れる人の後ろ姿は、それはそれは素晴らしいものです。
顔が見えなくても、背中の動きだけで雄弁に語られる。
これは日本舞踊に限らず、身体表現であれば、同じこと。
ここまでできる人は間違いなく芸達者な人です。
若い頃舞踊会の下ざらい(リハーサル)のお手伝いをした時、生演奏の録音係をしたのですが、その場所が、丁度踊る方の後方でした。
“正面から見たかったなー”と少し残念に思っていたのですが、ずっと見ていると上手な方は後ろ姿でも見ていて飽きませんでした。
体幹、とは近頃良く聞く言葉ですが、体幹は身体の部分ではなく、全体を指すのです。
どうしても手先や足の動きばかりに目が行きがちですが、極めた人は全身で動いています。
そうすると一部分だけに力が入るみたいなことがなく、効率的で力強くスピーディーに動くことができるのです。
指導する時も時々後ろから見てみると、正面から見えなかった問題点が明らかになることが良くあります。
人は目のついてる方(身体の前側)は意識しやすいので、正面は割りに取り繕えるのですが、舞台裏(後ろ姿)はアレ?ということが多いのです。
日本舞踊は後ろ姿を見せるポーズも多いので、その点も上達のためには良い点かも知れません。
前から見て良くても、猫背だったり後ろに傾いていたりしたらちょっと残念ですよね。

というわけで、皆さんも日本舞踊を習って美しい後ろ姿を作りましょう😊

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千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。