型があるから”型破りができる”
これは3代目猿之助さん(現2代目猿翁)がインタビューで述べていた言葉。とても印象に残っています。
確かスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」が誕生したあとのことだったと思います。
新しく道を切り拓くには周りの厳しい意見もあっただろうと想像します。
このインタビューの中で、歌舞伎を真似て新しいことをしている人たちのことも言及していて、それが悪いとかではなく、歌舞伎を変えていくのは歌舞伎役者である、と力説していました。
そして、新しいものを作る、ということは歌舞伎の形があってこそ、その型を持った者(つまり歌舞伎役者)が壊していくことが型破りになるのだ、と。「型がなければ型なし、になってしまう」
私は日本舞踊の技術をしっかりと身につけた上で創作日舞という活動をしていこうと思っています。
勿論猿之助さんの境地には到底及ばないとは思いますが、及ばない、と言っていてもキリがないので(笑)今の自分を受け入れ、進んで行くしかない、と思うわけです。
型は長年の試行錯誤で完成されていった
到底想像がつかないほど長い年月、多くの人々の努力によって型は完成したと考えています。
その根底には”もっと良く、もっと面白く”という気持ちがあったのでは。
私が修業した流派は、現代舞踊から入った芸者さんが初代です。
今は3代目が70歳代となり、かなりの年月を費やしてきた(確かもう80年近くになる)古典と創作の流派です。
日本舞踊で創作をする人は沢山いますが、私が入門した時は2代目がおりましたので、創作の2代分の努力を受け継ぐことができた、と言えます。
私はその積み重ねの上に自分のアイデア、技術を乗せていけるのです。
これは本当に恵まれたことですね。
さて、私が目指す日本舞踊は、全く知らない人が見ても面白い、楽しい、良い、と思っていただけるものを作ること。
だから、観に来てくださった方には必ず感想を伺います。舞踊会では珍しい(と言うか、ほとんどやられていない)アンケート調査もしています。
直接伺う方たちは、遠慮や社交辞令も入ることはありますが、それでもその裏の本音が垣間見えて興味深い。
ありがたいことです。
ところで今回の千舞祭vol.4は、聞きに行かなくても感想を言いに来てくれる、話してくれる感じで、本当に嬉しく、ありがたかったです。
ただ、毎年何か新しいことを、楽しい仕掛けをと意気込んでいたのが、今年は割に今まで積み重ねてきたこと、得意なこと、好きなことを力まずにできて「今までで一番良かった」との感想を沢山いただいたので、改めて創作日舞のあり方を考えさせられることとなりました。
やる方としては割に普通過ぎてちょっと大丈夫かなとの心配はあったのですが(笑)
まぁでもだからと言って「今回の方が面白いですよ」と自信満々に狙えるわけでもなく、日々精進あるのみ、という状況はずっと変わらないと思いますが。
千舞祭2022 vol.4についてはこちらをご覧ください。
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