私を踊りに導いた師匠のはなし。

師匠との出会い

師弟関係って本当に縁だなと思います。
私がアクションクラブに入って6年ほど経った頃、やっと将来役者になるのかなぁなんて思い出して、
親のお友達のご主人がプロデューサーだということでプロダクションを紹介していただきました。
その時”女優は日本舞踊もできた方がいい”と助言され、プロデューサーの奥様(要するに親のお友達)が日本舞踊の師匠だというので、流されるように弟子入りしたのでした。

踊りを教えない師匠

私が入門した頃は、まだ教室を始めてそんなに時間が経っていなくて、近所の人が習いに来ているゆったりした感じの稽古場でした。
40代の先輩が丁度名取試験を受けるところで、若い人は私だけ。
師匠も教えるというよりは、自分が楽しく踊って、それを弟子達が訳もわからず必死に覚える、という感じ。
振付さえ覚えれば”いいわよ”というだけで、こうしたら良いとかの直しはありませんでした。
確かに覚えるのに時間がかかれば、それ以上はなかなか進めません。
私は何とか直して貰いたくて、なるべく早く覚えようと努力しました。

 

数年後大きい舞踊会を催した時、家元先生の所にお邪魔したのですが、たまたま直門の若いお弟子さんのお稽古を拝見して驚いたことがあります。
その時長唄新曲の短い(それでも6分ほどの)曲を教わっていましたが、家元がスルスルと2回、3回と踊ると、座ってしまいます。
お弟子さんは3回一緒に動いただけで、全部覚えていました。
これは驚愕しましたね。
そして直しもほとんどしませんでした。
家元の動き通り、動きさえちゃんと見ていればできるようになる、ということなのでしょうか。
私は密かに目標とすることを誓いました。
“3回で覚える”
“とにかく師匠の動きを目に焼き付ける”

私の師匠は家元直門ですが、他の師匠は修得に苦労した分、弟子にはわかるように教えたい、という気持ちがあり、とても丁寧な指導をしていらっしゃいました。
(私も分かりやすくコツなどもおしえていますよ💦)

ただ、私の師匠は割に感覚的に捉える人で、あまり悩みもせず家元から受け取ったそのままを私たち弟子に教えているようでした。
“こう動くから、こうなる”みたいな考え方をしていないので、「ここはどう動いているんですか?」なんて聞いても答えられない。
「どうって…自然とこうなるのよー」とよく言っていましたね。
変に考えさせちゃうと意識して変な動きになったりもするので、私はあえて聞かずによく観察して、”あゝ、こう動くのか”なんて理解したりしていました。

本番前の師匠の珠玉の言葉

私のいた流派は古典(歌舞伎舞踊)の他に創作日舞も沢山ありました。
そういう新曲を踊る時は日舞の技術プラスアルファの部分(オリジナル的なもの?雰囲気?)があったりして、何となく動けるんだけど、どう表現しようかと悩んでしまうものもあります。
そういう時、舞台袖で出番前に言う師匠の一言が、その曲の本質をズバリ言うことがあって、たった一言なのに、それによって今まで練習してきた動きと全く変わってしまい、上手くいくということがよくありました。
“ああ、そういうことか!”と一瞬で理解できる一言。
そんな一言を言える人だったのです。


これはもしかすると私と師匠だから通じた一言だったかも知れない、と今では思っています。
だって、
「こういう時は目(視線)を効かせるのよ」
とかですよ。
教えるのが下手だったとか、いいかげんだったとか言う方が沢山いましたが、私にとっては本当に良い師匠でした。
教える時も何も考えず、自由に踊って見せてほしい、と今でも思います。

そんな師匠も私が師範試験を終えた次の年、還暦を待たずに急逝してしまいました。
それから5年後に私は流派を辞めて独立してしまいましたが、今でも毎朝手を合わせています。
師匠はもはや私にとって”踊りの神様”ですね(笑)

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ABOUT US
千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。