舞踊家のボディケアとトレーニング

踊りは身体を使う立派な運動です

近年は体幹トレーニング、体幹が注目されるようになり、身体の鍛え方が劇的に変化してきました。

足、腕などと見える部分を鍛えるところから、身体全体のつながりを意識する、理にかなった方法だと思います。

これにより、スポーツ選手の選手寿命は飛躍的に伸びました。

翻って日本舞踊家ですが(笑)、私の師匠を思い出しても”ケア”とか”鍛える”とかいうワードは聞いたことがありません。

でも、ある年齢を過ぎると、”ひざが”とか”腰が”とか言い出すんですね。
一晩寝ると朝は足腰が痛くて、布団からはいずり出てやっと起きる、なんて話も聞いたことがあります。

私もあまり踊りを”運動”というイメージでは受け取っていなかったため、アクションクラブにいた頃ほど重要視していなかったのは確かです。

そんな私もアクションをやめて踊り1本になると、たちまち体が悲鳴を上げました。

まだ20代半ばでしたが、膝に水がたまり、椎間板ヘルニアにもなりかけます。

これはきつかったですね。

ひざが曲げられない、伸ばせない。痛くて体が後ろに反れない。

治療と素人考えの整理体操、トレーニング。

ストレッチが日本に広まったのはその数年後。

体幹という考え方が広まったのはずっとあと。

40代後半に差し掛かると、体の衰えをいやでも感じてきます。

再び腰痛やひざの痛みが出て、整体の先生に初めて体幹トレーニングのことを教えてもらいました。

 

30代と違い、舞台があるから、と急にハードに練習しようとしても疲れてしまい、身体がついていきません。

これは毎日やらなければならない、と覚悟しました。

自分に合ったやり方で毎日行う

私は運動が嫌いです。

曲に乗るから動ける、というタイプなんですね。

ですから長時間黙々とトレーニングなんてできないのです。

昔は15~20分以上(正確な時間を忘れましたが)動き続けないと、効果がない、と言われましたが、現在は時間に関係ないということがわかってきています。

つまり1時間連続でも5分を12回1日かけても同じ、ということです。

ジムに行ってがっつりやりたければそれもよし、レンジで温めてる間にスクワット、なんていうやり方もいいんです。

大切なのは、何といっても続けること。

なるべく今の踊りを長く維持したい、と思えばずっと続けなければなりません。

なるべく負担のない続け方

いやになって辞めないための私の日々のトレーニングを少しお伝えします。

起床後、主に足をほぐすストレッチから始めます。

布団の上です。

一晩寝ると(年齢的にも)筋肉がこわばっていますので、良く伸ばします。

両足を上げて、左右上下にふり、腹筋運動。

いつも踊りでこらえる運動が多いため、ダンスの足の振り上げもしています。

筋肉の使い方が違うため、筋肉をほぐすことができるんです。

足を振り上げるため、同時に腹筋や大腰筋なども鍛えられます。

その他腹筋、背筋、プランク(両肘とつまさきで体を支える運動)ヨガのポーズなども取り入れています。

踊りをしていて、弱くなった動きが見えてくると、トレーニングを追加したりしています。

日中は食事の準備の時など少しの時間にできることをしています。

忘れないように、レンジをかけているときには、とかお風呂に入る前に、などと決めています。

習慣づけすることが無理なく続けるコツです。

夜はストレッチを中心に念入りにします。

もちろん布団の上で(笑)

夜ストレッチしても朝には硬くなります。
それでも、やらなければ朝は更に絶望的なことに…。

ストレッチも、若いときは1回伸ばせば済みますが、段々と1回では済まなくなります。
伸ばしてもすぐ硬直したり。
ですから一通り伸ばしたら、もう1回伸ばしたりして、結構時間がかかります。

以前バレリーナのマイヤプリセツカヤが団員と共にバーで体をほぐしていて、「怠けているように見えるかもしれないけど、どうしても時間がかかるから」と言っていたのを思い出します。

その時は単に丁寧にやっているのかな、と思っていたのですが、年を取ると体が動くまで時間がかかるのですね。

そんなことも毎日体に向き合っているからこそわかること。

身体を使って表現するということは本当に大変な労力がいるのです。

ちょっぴり人生の先輩として書いてみました。

そのうちトレーニングをレッスン動画にアップしようかな…(笑)

 

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ABOUT US
千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。