30年以上教える仕事をしていると、本当に色々な人に出会います。
その中で教えるのが苦痛で最終的に辞めていただいた方が1人だけいます。
基本的には、私の指導を受け入れてくれて、その人なりの踊りに取り組む気持ちがあれば、それに寄り添って教える、という姿勢でいます。
しかしその人の場合、それが全て他人任せ＝師匠任せであることが非常に問題でした。
浴衣の着付けを教えても一向に覚えてこない。
説明しながら着付けていくのですが、子供が親に着せてもらうが如く人形のように立っているだけ。
踊りも曲をかけて教えながら一緒に踊るわけですが、全く覚える気も無く、
「では踊ってみて」
と言うと曲をかけてもただ立ち尽くすだけ。
次のお稽古までに踊りを覚えてくるどころか、慣れることもなく、着付も3ヶ月たっても全くできませんでした。
話しかけてもほとんど反応もせず、楽しげでもなく…
要するに浴衣を着せてくれて、その時間だけ何となく曲に乗って踊らせてくれて、その雰囲気を味わえれば良い、ということのようでした。
覚える気も上達する気もさらさらなく、曲が変わっても振りが変わっても関係ないということなんですね。
こんな話をすると、私はそんなことない、やる気があって凄い先生のスタジオにレッスンに行ってるし夏休みはニューヨークに行って特別レッスン受けるし…なんて言う人は結構いるんですね。
レッスンが沢山詰まっていて、今日は忙しい！とか言う人も笑
でも、それってレッスンさえ通えばできるようになる、できるようにしてくれる、と思っていないでしょうか。
私の稽古場には役者さん他芸能関係の方が結構学びにきていただいていますが、通いさえすればできるようになる(できるようにしてくれる)と思っている人もいます。
反対にちゃんとこうなりたい、パフォーマンスの中でこう生かしたい、ときちんと意識して稽古に臨む人もいます。
そういう人は稽古でも常に
“どうしてそうなるのか”
“こうするにはどうすればいいのか”
“これをここに活かすには”
などと常に思考して、わからないことは鋭く質問してきます。
結局どんなに素晴らしいレッスンを受けても、それを身につける、活かしていくには、能動的に考え、動かなければならないということなのです。
身につける、上達するには自分次第、取り組み方次第です。
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