肩書きの意味

舞踊家に必要な看板と組織

よく政治家の”地盤、看板、カバン”と言われますが、日本舞踊でもそんな感じがある”のかなー”と。

私は元々肩書きには興味が無く、人との関係も上下で見ないので(勿論目上の人への敬意は示しますが)空気を読まない態度を快く思われないこともしばしばありました。
身近で言うと、ママ友さん達の集まりで何故上下関係ができるのか、理解に苦しみました。

日本舞踊に関して言えば、修行中所属した流派では師範まで取得し、日本舞踊協会にも所属していましたので、、
まぁだからと言って”カバン”を持ち合わせていない私は活躍することもなく、恐らく相手にもされていなかったと思います😅

たった1人の独立〜独立とは1人で立つこと〜の現実

これが独立しますと、本当に相手にされなくなるんですね(笑)
新舞踊の方々が多く在籍した日本創作舞踊振興会(現在は解散しています)に入会した時でさえ、皆さま独立して流派を興してらっしゃる方ばかりでしたが、1人でやってきた(?)私は、ほとんど相手にされませんでした。

千翠流、と名付けて家元を名乗ってからは多少変わりましたが、元々私のやりたい踊りが特殊と言うか他には誰もやっていないジャンルだったようで、”一緒にやりましょう”みたいなことはありませんでした。

家元、と名乗ったのは少しはお付き合いできて、いつか新しいことをご一緒できる方に出会えたら、みたいな期待があったからですが、私があまりにも色々な曲で自由に踊っているせいか、そういう出会いもありませんでした。

でも、ちゃんとやりたいことをきちんと形にして、日本舞踊を知らない人にもわかるもの、楽しめるものをと心掛けて自分なりの発表の仕方で頑張ってきました。

そうしたらいつか肩書きではなく、私の踊りそのものを見つけてくれて、”良い”と思ってくれる方がいる、そういう人達と付き合っていこうと思っていたのです。

肩書き=実力ではない

例えば「私は役者です」と名乗ったとしても、その人が素晴らしい役者かどうかは見てみないとわかりませんね。
日本舞踊でも例えどんなに大きな看板を持っていたとしても全員が素晴らしい踊りをしたり、振付できるわけではないんです(断言をお許しください🤭)
ましてや振付は師匠に教わることはありません。
私のいた流派では古典の他、創作舞踊もあったので師範試験に振付がありました。
それでも教える師匠自体普段は振付をしていません。
流派の振付は家元がするものなんです。

まぁそんなわけで、何とか私自身を、私の踊りを、私の振付を直に見てほしい、と常に願っていました。

今はやっと肩書きではなく私自身を見て声をかけてくださる方々と出会えて、とても幸せです。

踊り関係者でないのが少し残念ですが、踊りを知らない方々に面白いと思ってもらえることを願った私らしいお付き合いができてきているのだと思います。

肩書きは不要、というわけではありません。
知らない方がその肩書きを見て、こういう人だ、とおおよそ理解してもらえる入り口として大切ではあります。

家元を名乗る意味

ただ私は最近”家元”をあまり名乗らなくなりました。
看板自体がそんなに大きなものではありませんし、下手するとどこかの大先生に教えてもらっているの?みたいな誤解もあったりするんです。

ですから、プログラムなどには必ず
“振付・指導・演出・千翠流舞主宰 千翠珠煌
と入れます。
本当は家元と言えばこれら全て1人でやっていて当たり前なんですが、そういうことを知らない方も多い、ということで。
この頃は年齢もそこそこいっていますので(笑)”先生”と呼んでくださったり、踊りも、それこそ”そこそこ”発表していけるようになったので、お相手くださる方が自然に増えてありがたい限りです。
これからも
実際の踊りを見てみたい、
是非一緒に踊ってみたい、
と1人でも多くの方に思っていただけるように頑張っていきたいと思います。

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ABOUT US
千翠珠煌
13歳よりアクションクラブに8年在籍。 19歳より日舞(古典・新舞踊)を始め、師範名取を経て1998年独立。 創作舞踊公演、舞踊指導等。 2017年千翠流舞を発足、国内外問わず舞踊ショー・イベントなどの活動をしている。